
在留資格「永住者」は,在留活動,在留期間のいずれも制限されないという点で,他の在留資格と比べて大幅に在留管理が緩和されます。
このため,永住許可については,通常の在留資格の変更よりも慎重に審査する必要があることから,一般の在留資格の変更許可手続とは独立した規定が特に設けられています。
永住許可は,在留資格を有する外国人が永住者への在留資格の変更を希望する場合に,法務大臣が与える許可であり,在留資格変更許可のひとつと言えます。
一般に在留資格変更許可の申請では、在留期間の満了の日までに申請し、在留期間の満了日までに審査が終了しない場合,その在留期間の満了後も、「審査が終了するまで」,または「現在留期間の満了日から2月を経過する日」のいずれか早いときまで,引き続き現在留資格のまま日本に在留することができます。
しかしながら、他の在留資格変更許可の申請と異なり、永住許可申請中に在留期間が満了した場合、満了後は不法残留となってしまう点に注意する必要があります。
永住許可に関するガイドライン(令和元年5月31日改定)より
1 法律上の要件
(1)素行が善良であること
法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。
ただし,日本人,永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には,当該項目に適合することを要しないとしています。
(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
日常生活において公共の負担にならず,その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。
なお、提出書類の中に「直近の申請人又は申請人を扶養する方の所得及び納税状況を証明する資料」が含まれていることからも、申請人を扶養する方に十分な経済力がないと判断された場合、不許可と成りうることを考慮すべきでしょう。
一般に月25万円(年300万円)がひとつの目安となっておりますが、各種事情を総合考慮の上、審査当局は判断を下すと考える方が賢明です。
なお、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子、および難民の認定を受けている者の場合には当該項目に適合することを要しません。
(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
(ア) 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし,この期間のうち,就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
(イ) 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税,公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。
申請時に「納税状況を証明する資料」や「公的年金及び公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料」の提出が求められているとおり、公的義務の履行は、許可・不許可を判断する上で大きな影響を与えます。
なお、例えば、保険料を納付していても、期限の納付を怠っていた場合や、過去に就労資格(在留資格「技能」など)で滞在していた際、勤務先を変更したが、届出をおこなわなかった場合も、不許可の原因と成り得ます。
(ウ) 現に有している在留資格について,出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
在留資格に応じて在留期間は異なりますが、例えば認められる在留期間が5年、3年、1年…の場合、最長の在留期間とは5年を指しますが、入管当局によれば,在留期間「3年」を「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取り扱うこととするとしています。
(エ) 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
これは疫病や薬物、更には近隣住民に著しい不快を与えること等のことです。
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2 原則10年在留に関する特例
(1)日本人,永住者及び特別永住者の配偶者の場合,実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し,かつ,引き続き1年以上本邦に在留していること。その実子等の場合は1年以上本邦に継続して在留していること
例えば、日本人とオーストラリア人の夫婦の場合、オーストラリアで2年以上婚姻生活を送り、その後訪日して1年以上在留している必要があります(海外2年+日本1年=3年)。
なお、配偶者を対象とした永住申請の特例に関し、入管当局によれば、必ずしも「日本人(永住者)の配偶者等」に限定されるものではなく、実態が伴なえば、在留資格「定住者」や就労資格等で在留する配偶者も同様に特例の対象と成りうるそうです。
(2)「定住者」の在留資格で5年以上継続して本邦に在留していること
(3)難民の認定を受けた者の場合,認定後5年以上継続して本邦に在留していること
(4)外交,社会,経済,文化等の分野において我が国への貢献があると認められる者で,5年以上本邦に在留していること(参考事例)
(5)地域再生法(平成17年法律第24号)第5条第16項に基づき認定された地域再生計画において明示された同計画の区域内に所在する公私の機関において,出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の規定に基づき同法別表第1の5の表の下欄に掲げる活動を定める件(平成2年法務省告示第131号)第36号又は第37号のいずれかに該当する活動を行い,当該活動によって我が国への貢献があると認められる者の場合,3年以上継続して本邦に在留していること
(6)出入国管理及び難民認定法別表第1の2の表の高度専門職の項の下欄の基準を定める省令(以下「高度専門職省令」という。)に規定するポイント計算を行った場合に70点以上を有している者であって,次のいずれかに該当するもの
(ア) 「高度人材外国人」として3年以上継続して本邦に在留していること。
(イ) 3年以上継続して本邦に在留している者で,永住許可申請日から3年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に70点以上の点数を有していたことが認められること。
(7)高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上を有している者であって,次のいずれかに該当するもの
(ア) 「高度人材外国人」として1年以上継続して本邦に在留していること。
(イ) 1年以上継続して本邦に在留している者で,永住許可申請日から1年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上の点数を有していたことが認められること。
なお、永住許可申請に関し、「原則として引き続き10年以上本邦に在留していること」とされているところ、実務上は永住許可申請の審査期間等を考慮し、在留9年を目途に申請手続に着手することが少なくありません。
他方、「原則10年在留に関する特例」として、日本人/永住者の配偶者であれば,実体を伴った婚姻生活が3年以上継続していることを前提として「引き続き1年以上本邦に在留していること」とされ、実子等の場合は「1年以上本邦に継続して在留していること」とされ、在留資格「配偶者等」の方が永住許可を申請する場合、その在留期間の要件は緩和されます。
では、原則10年在留とされる方々が、目安となる10年を待たずに永住許可申請をおこなっていることを踏まえ、在留期間1年以上とされる配偶者等の場合は、在留期間1年を待たずに永住許可申請をおこなうべきでしょうか?
入管当局によれば、「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」を審査するにあたり、「直近(過去1年分)の申請人又は申請人を扶養する方の所得及び納税状況を証明する資料」を求める観点から、これにかかる証明書を提出できない場合は不許可となる可能性が非常に高いそうです。
つまり、在留資格「配偶者等」の方が永住許可申請をおこなう場合、1年は目安ではなく、1年以上滞在した上で申請することが望ましいと思います。
(参考:法務省HP)
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永住許可申請提出書類
1 申請人の方が「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」の在留資格である場合
3 申請人の方が就労関係の在留資格(「技術・人文知識・国際業務」,「技能」など)及び「家族滞在」の在留資格である場合
4 申請人の方が「高度人材外国人」であるとして永住許可申請を行う場合
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